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4/16 『死者の奢り・飼育』大江健三郎を読む
更新日:11 時間前
4月16日(日)<生田> 午後2時〜5時

★4月の本
『死者の奢り・飼育』
大江健三郎 著
(新潮文庫)
死体処理室の水槽に浮沈する死骸群に託した屈折ある抒情「死者の奢り」、療養所の厚い壁に閉じこめられた脊椎カリエスの少年たちの哀歌「他人の足」、黒人兵と寒村の子供たちとの無残な悲劇「飼育」(芥川賞)、傍観者への嫌悪と侮蔑をこめた「人間の羊」など6編を収める。“監禁されている状態、閉ざされた壁のなかに生きる状態”を論理的な骨格と動的なうねりをもつ文体で描いた初期作品集。
──23歳で芥川賞受賞、1994年ノーベル文学賞受賞。核や憲法九条など戦争と平和をめぐる問題について生涯にわたり社会的発言を続けた作家の初期短編集。今月3月3日に亡くなっていたという訃報が10日遅れでニュースに乗った。鶴見俊輔、加藤周一とともに「進歩的文化人」(この言い方も今や死語に近いが)を代表する作家として、かつては大きな存在感があった。こんな時代だからこそ、もう一度、大江健三郎の残した作品を読んでみたいと思います。