
ふふふ読書会 吉祥寺 ◉ 7月読書会のお知らせ
日 時: 2025年7月26日(土)午後3時45分〜午後6時00
テキスト:『東京同情塔』九段理江(新潮社)

5月12日のふふふ読書会(生田)の本は、ジョージ・オーウェルの作品です。
先月の『本の栞にぶら下がる』の中でも、1章を割いて書くほど、斎藤真理子さんには「気になる」作家であり続けたジョージ・オーウェル。私も「気にはなりつつ」購入したまま積んどくでしたが、斎藤さんの文章に休眠状態の関心が呼び覚まされました。
お隣韓国の脱北者の話に繋げて、「考えてみれば、私が長い間『一九八四年』を読むたびにうんざりしてきたのは、そこに描かれているのが予想もつかない醜悪さではなく、いやというほど予想のつく醜悪さであり、それが濃縮されていたからではないだろうか。そして、〈でも、うちは濃度が低いから大丈夫〉と思っていられる時期は、徐々に終わりつつあるのかもしれない」という斎藤さんの意味深の言葉に、私の中の何かが疼きました。
というわけで『一九八四年』にしたいと思います。
最初に、オーウェルの「作品」としたのは、斎藤さんも複数のオーウェル作品を紹介していることと、すでに既読の方もいらっしゃることを勘案して、このほかに、『動物農場』と『オーウェル評論集』もOKということにします。

『東京同情塔』九段理江

最近生成AIとの100%共著で話題を撒いた著者の、その発端ともなった本作『東京同情塔』(第170回芥川賞受賞作)が7月のテキストです。
2020年の東京オリンピックでザバの新国立競技場が完成し、シンボルとして「シンパシータワートーキョー」が造られたという、もうひとつの日本を舞台に、バベルの塔ならぬ、国家、意思の象徴「塔」の存在性と、実のない正義の関係を独特な言語感覚で暴いていくという意欲作。
本書から作者と一緒にパワフルな未来を追随すると共に、来るべきAIと文学の共存についても語り合ってみたいと思います。