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『暁の宇品』堀川惠子
 2022年8月11日  生田 <参加者5名>

◉昭和16年、日本軍の真珠湾攻撃によって始まった太平洋戦争は、広大な太平洋から南アジアまでを戦域とする「補給の戦争」となった。膨大な量の船舶を建造し、大量の兵士や物資を続々と戦線に送り込んだアメリカ軍に対し、日本の参謀本部では輸送や兵站を一段下に見る風潮があった。

そして、昭和20年8月6日。悲劇に見舞われた広島の街で、いちはやく罹災者救助に奔走したのは、補給を任務とする宇品の暁部隊だった――。

軍都・広島の軍港・宇品の50年を、3人の司令官の生きざまを軸に描き出す、圧巻のスケールと人間ドラマ。

​参加者のコメント

★今年のベストにしたいようないい本です。

敗戦間際、ベニヤ板で作った特殊特攻艇の乗組員(15~19歳)を日本全国から集めたということ。「軍隊内での出世も早くできるから」などという餌で、少年たちを釣っていた軍部の末期症状に呆れるやら、怒りが湧くやら。ひどい話です。

こんな軍人たちに引きずられるようにして、最後はヒロシマ、ナガサキの惨状に至るわけですが、そんな中にあって、ごく少数ですが、真っ当な軍人もいたようです。

この本は、そのうちの3人の事蹟や人物像に焦点を絞って描かれた力作だと思います。

お勧めです。(T・B)

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★原爆だけでない「広島」の戦争におけるもう一つの試練に感激しました。

「ふふふ読書会」では、広島出身の女性の方が広島の地図を広げて当時の宇品港の位置を丁寧に教えてくれました。来年はまさにこの場所に立つホテルでサミットが開催されるそうです。

本当に何か大きな「宿命」を感じさせる傑作です。この機会に一度宇品を訪れて見たいと思いました。(S・K)

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