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『おいしいごはんが食べられますように』
 高瀬隼子
『夜に星を放つ』 
  窪 美澄
2022年9月11日  生田 <参加者6名>

★『おいしいごはんが食べられますように』
 

*今、会社という組織で働くことのリアルがビンビン伝わってくる職場(食場)小説。仕事を普通にこなせてしまう二谷と押尾。気質的な弱さゆえに仕事ができないけれども周囲から気遣われ守られ続ける芦川さん。この「弱さ」を保護色のように身にまとう芦川さんが生き残り、強いけれども芦川さんの「弱さ」をカバーし続けた押尾さんが最後には会社を去るという不条理が極めて現実的に描かれている。押尾さんと同じ側にいるはずの二谷が、芦川さんに拭いきれない違和感を抱きつつも結婚へと進んでいくラストはなんとも気持ちが悪い。が、その心の揺れ動きこそ人間の不可解を現していて、読後は胸に異物が残されたままのようになる。(B)

 

*二谷は芦川さんを心の奥底では嫌っている。その点で押尾さんと共感し合い、ある種のいじめ(もらったケーキを捨てる)を共謀するくせに、最後はそんな芦川さんと結婚する(だろう)ことを予感させる。二律背反ともいえるそんな二谷の心理が描かれていないように思った。それと、芦川さんのような女性がいれば、彼女が職場から排斥されるというのが普通なのではないか。そこが疑問として残る。(S)

 

*この小説がよく理解できなかった。なんらかの事情で「弱い」女性がいれば、男であれば守ってあげるだろう。二谷をはじめ、3人の主要人物のことがよくわからない。(U)

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★『夜に星を放つ』

*この著者のものは多く読んできたが、今回は少し毛色が違うのに驚いた(前のはエロいものが多かったような)。でも泣かせるお話が多く、どれもとても良かった。(U)

 

*これが直木賞? と思わせる軽さ。久々に直木賞受賞作を読んでびっくりした。(S)

 

*この短編集もやはり今の日本の現実を切り取っているが、どれもラノベのような軽みとわかりやすさで、若い読者層も容易く入って来られると思う。テーマは、離婚、格差、いじめ、虐待…など、生きにくい現実を描いているものの、暗闇に一点の光を用意してあるし、泣かせどころもちゃんとあるので、読書の楽しみは味わえる。(B)

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